【冬至とは】2024年は12月21日。ゆず湯に入り、カボチャを食べる理由は?

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【冬至とは】2024年は12月21日。ゆず湯に入り、カボチャを食べる理由は?
冬至とは、1年の中で夜が最も長くなる日のことです。古くから冬至にはゆず湯に入る、カボチャを食べるなどさまざまな風習があり、現代に引き継がれています。本記事では、冬至の意味や2024年の日にちをはじめ、過ごし方や食べるもの、海外の冬至事情とともに、冬の葬儀に参列する際の注意点も紹介します。

冬至の意味と、2024年の日にち

太陽が出ている時間が短く、夜の時間が長い冬至。初めに、2023年の日にちと冬至の意味、過去の記録から見る日の出と日の入りの時刻、昼の長さを紹介します。

2024年の冬至は?

冬至の日にちは固定制ではなく毎年12月の21日か22日で、2024年の冬至は12月21日(土)です。
ちなみに、冬至は中国から伝わった季節を示す「二十四節気(にじゅうしせっき)」の1つです。今年の冬至がいつになるのかは、前年の2月初旬に分かります。この時期の官報で、国立天文台が「暦要項(れきようこう)」として翌年分の冬至の日にちを発表するため、個人でも確認可能です。
二十四節気については、以下の記事で詳しく解説しています。

冬至は夜が1番長くなる日

日本を含む北半球において、冬至は太陽が1年で最も低い位置にくる日です。また、昼が短く、夜が一番長くなります。冬至の昼がどのくらい短いのか、東京都を参考に見てみましょう。
<2024年12月21日 日の出・日の入り時刻>
・日の出:6時47分
・日の入り:16時32分
国立天文台「東京都のこよみ」(参照)
このことから、2024年における冬至の昼の長さは、9時間45分だと判断できます。ちなみに、1年のうちで昼の時間が最も長くなるのが夏至です。2024年は6月21日で、東京都の日の出は4時26分、日の入りは19時、昼の時間は14時間34分です。冬至は5時間近く夏至よりも日が短くなりますね。冬至と正反対と言える夏至については、以下の記事で詳しく紹介しています。

一陽来復(いちようらいふく)は冬至のこと

冬至は四字熟語で「一陽来復」とも言います。冬が終わり春が来ることや、新年を迎えることを祝う言葉です。冬至を境に日が長くなることから、陰が極まり陽が生ずるという意味があり、これから物事がうまくいくことも暗示しています。

冬至の風習と言えば「ゆず湯」

冬至の風習として特に馴染みがあるのは、ゆず湯だという人も多いのではないでしょうか。ここでは、ゆず湯に入るようになった由来と入るメリット、ゆず湯の入れ方を紹介します。

ゆず湯の由来

江戸時代の頃には、既にゆず湯の風習があったことが分かっています。実際に、1838年に刊行された江戸の年中行事を紹介する「東都歳事記(とうとさいじき)」の中に、ゆず湯に入っている様子が描かれています。ゆず湯は“ゆず=融通がきく”という語呂合わせと、“冬至=湯治”に通じて縁起も良いため「冬至にはゆず」と、お風呂屋さんが始めたそうです。
また、ゆずは冬に旬を迎えて香りが強くなる果実。昔の人はゆずの香りが邪気を避けると考えていたそうです。冬至は昼の時間が最も短いので、太陽の力が一番弱まる日と考えられてきました。そして、「この日を境に再び力が甦ってくる」と信じられていたため、昔の人は冬至の前に身を清めるためにもゆず湯に入っていたそうです。

ゆず湯のメリット

言い伝えの1つ、「ゆず湯に入ると1年間風邪を引かない」というものをご存知でしょうか。その理由には、ゆずに含まれる成分が深く関係しています。ゆずの果皮には、風邪予防や保湿に良いビタミンC、血行改善を促すヘスペリジン(フラボノイド)などが豊富に含まれています。
また、ゆずには美肌に効果的とされるクエン酸も含まれているほか、ゆず湯は芳香によるリラックス効果など、心身に良い効果が期待できます。

肌に合うゆず湯の入れ方を楽しんで

ゆず湯の効果を知ると、冬至に関係なく入りたいところ。ゆず湯の入れ方は、ゆずを丸ごと使う、輪切りにする、絞る、皮だけ使うといった4種類があります。肌の強さによって向き・不向きがあるので、自分に合った方法で楽しんでください。
浴槽の素材によっては適さない場合があるのでゆず湯を入れる前に確認をおすすめします。滑りやすくなることもありますので十分注意して楽しんでください。

入れ方①敏感肌の人でも楽しめる方法

<丸ごと>
ゆずを丸ごと使う方法なら、成分が外に出にくいため敏感肌の人でも楽しめます。湯船にそのまま入れるだけなので、手間がかからない上に見た目でも楽しめます。200リットルのお湯に対して、ゆずを2~3個入れるのが目安です。

入れ方②ゆずの魅力を存分に感じられる方法

<輪切り>
ゆずの魅力を存分に感じたいときは輪切りがおすすめです。ただし切ることで、丸ごと入れるよりも有効成分が外に出ます。その分、刺激成分も多く出るので、敏感肌の人は注意してください。楽しむ際は、200リットルのお湯に対してゆず半個ほどが目安です。
ゆずは好きな厚みに切って問題ありませんが、湯船の中で種や実が出ることによって浴槽を汚したり風呂釜を傷めたりしてしまう恐れがあるので、ガーゼで包んでから入れることをおすすめします。
<絞る>
紹介する中で、最もゆずの有効成分が出る方法が"絞る"です。ただし、いつものお風呂とあまり見た目が変わらないため、視覚的な楽しみは薄いかもしれません。肌への刺激も強いので、敏感肌の人は避けた方が良いでしょう。
この方法でゆず湯を楽しむときは、200リットルのお湯に対してゆず1/4個を絞るのを目安にしてください。果汁のみの使用なので、浴槽を汚すことがなく後片付けが楽なことも魅力のひとつです。
<皮のみ>
料理などで使ったゆずを、余すことなく利用できる方法です。有効成分はゆずの皮に多く含まれているので、十分な効果を期待できます。
使用の目安は、200リットルのお湯に対してゆず1個分です。ネットなどに入れると、皮がバラバラに散らばるのを防ぐことができます。また、ゆずの皮には水垢などの汚れ落としに効果的なクエン酸が含まれているので、ゆずの皮入りネットをそのまま掃除に活用できます。ゆず湯を楽しむだけでなく、後片付けにも有効なやり方です。

冬至に食べるもの

カボチャや冬至粥、そして、「ん」のつく食べ物を食べるのが冬至の習わしです。なぜこれらを食べるようになったのか、その理由を紹介します。

カボチャ

切っていないカボチャを風通しの良い涼しい場所に置いておけば、2~3ヶ月ほどは保存できます。冬は新鮮な野菜が少なくなる時期なので、昔の人にとってカボチャは風邪を引きやすい時期の貴重な栄養源。「冬至にカボチャを食べて、寒い冬を乗り切ろう」と考えられていました。
しかし、ゆず湯とは違い、江戸時代の文献にカボチャを食べる風習の記載はありません。どうやら冬至にカボチャを食べる風習は、明治時代以降に定着したもののようです。

冬至粥(小豆粥)

冬至に食べられる小豆粥を冬至粥と呼びます。古くから、赤色は魔除け・厄払いの色と考えられてきました。小豆も赤色なので、運気を呼び込むために小豆粥を食べるようになったそうです。冬至はカボチャとともに冬至粥を食べて、無病息災を祈ってみても良いかもしれません。

「ん」のつく食べ物

冬至と言えばカボチャと冬至粥が有名ですが、実は「ん」のつく食べ物を食べる風習もあります。例えば、にんじん、だいこん、れんこん、うどん、ぎんなん、きんかんです。
冬至に「ん」のつくものを食べると運を呼び込めるという考え方からきた「運盛り」と呼ばれる風習で、縁起を担いでいます。「ん」のつく食べ物はどれも栄養価が高いため、カボチャと同様、それらを食することで「寒い冬を元気に乗り切ろう」と考えられてきたのです。

海外における冬至

冬至を大切にしているのは日本だけではありません。中国や北欧でも、冬至にまつわる風習があります。ここではそれぞれの風習を紹介します。

中国の風習

二十四節気の発祥地である中国では冬至がとても大切に扱われており、家族で宴を楽しむ風習が今もなお残っています。冬至には、餃子や餡入り餅、小豆を煮たぜんざいのようなものを家族で食べるのだとか。なかでも江蘇省や浙江省などでは「冬至は新年のごとし」とされ、少なくとも2日間は祝うそうです。
また、中国において冬至は故人を偲ぶ期間であり、先祖の墓参りをする民間習俗があります。

北欧の風習

北欧の国々は、冬至を「太陽が生まれ変わる日」と捉え、大切に扱ってきました。ユールと呼ばれる冬至の頃におこなわれるお祭りでは、薪を燃やして悪霊を祓ったり、神に捧げた豚を食べたりビールを飲んだりして過ごしていたそうです。
このユールは、時代の変化とともにキリスト教と結びつき、現在のイエス・キリストの生誕を祝うクリスマスになったと考えられています。薪の形をしたブッシュ・ド・ノエルは、ユールの名残だとする説もあります。

冬の葬儀参列の注意点

中国のように日本の冬至では死者を弔うような風習はないものの、月命日などで仏壇にお供えするときには、ゆずやカボチャ、運盛りなどをご先祖さまにも楽しんでもらいたいものです。

また、この時期のお葬式では冬支度が必須です。お通夜や葬儀告別式に参列する際は、コートをはじめとする服装に注意が必要です。弔問時にマフラーを巻くこともありますが、白いものはマナー違反とみなされます。
喪服の上に羽織るコートの選び方は、以下の記事で詳しく紹介しています。

今年の冬至はゆず湯とカボチャで

気温が下がり、昼間の時間が短い冬至。昔の人々は、ゆず湯に入ったり、栄養価の高いカボチャなどを食べたりして、寒さの厳しい冬を乗り越えてきました。今年の冬は、ゆっくりとゆず湯に入ってみてはいかがでしょうか。そして、カボチャや小豆粥、「ん」のつく食べ物を食べて、英気を養ってくださいね。