家族葬の費用相場と内訳は?一般葬との違い・安く抑える方法も

ご家族の通夜・葬式準備
家族葬の費用相場と内訳は?一般葬との違い・安く抑える方法も

この記事はこんな方にオススメです

葬儀の喪主になる予定がある
家族葬と一般葬の費用相場を知りたい
家族葬とは家族の絆を大切にし、故人と残された家族を中心におこなう葬儀です。比較的少人数のため費用は従来型の一般葬よりも抑えられる傾向にありますが、葬儀内容や季節の条件、地域の事情、そして、葬儀社によっても変わります。今回は家族葬の費用相場と内訳、一般葬との違いや費用を安く抑える方法、葬儀費用がない場合の対応方法などを紹介します。

家族葬の費用相場と一般葬との違い

家族葬と一般葬は費用相場が異なります。今回は一般的な費用相場と、2022年の葬儀事情を紹介します。

家族葬の費用相場

一般的に、家族葬の費用相場は100万円前後とされます。この相場には幅があり、10人程度の少人数でおこなう葬儀の費用でも15~200万円強まで実にさまざまです。さらに参列人数を減らす、無宗教にする、お通夜をしないなど、簡素化する場合は50万円以下でも可能です。ただし、15~20万円台のプランは、葬儀・告別式や、火葬費用などが省かれていることも多く、よく内容や内訳を確認する必要があります。また、この相場に御布施は含まれていません。

一般葬と家族葬の費用の違い

一般葬の費用相場は200万円前後とされます。家族葬よりも高いですが、実は一般葬と家族葬では祭壇や棺、霊柩車など、費用の内訳に大きな変わりはありません。
しかし、一般葬は参列者が多い分、スペースの広い会場が必要です。ほかにも、参列者の数だけ飲食費や返礼品にかかる費用が発生するため、家族葬よりも費用総額が高くなりやすい傾向にあります。

2022年の葬儀事情│平均費用と総額の推移

「第5回お葬式に関する全国調査(2022年)」のデータ(鎌倉新書調べ)を基に、コロナ禍における葬儀事情を紹介します。
この調査では、2020年3月~2022年3月に喪主(または喪主に準ずる立場)を経験したことのある、日本全国の40歳以上の男女を対象にアンケートを実施し、1,955件の有効回答を得ています。
①コロナ禍の葬儀の主流は「一般葬」から「家族葬」へ変化
対象期間内におこなった葬儀の種類は、家族葬が55.7%で最多という結果に。次いで一般葬が25.9%、直葬・火葬式が11.4%です。
コロナ前の2020年におこなわれた同アンケートでは、一般葬が48.9%で最多、次いで家族葬が40.9%でした。新型コロナウイルスの感染防止対策の影響を受け、葬儀形式の主流は一般葬から家族葬へと変化しています。
②葬儀費用の総額が過去最安
コロナの影響は色濃く、葬儀費用の総額も減少しています。2020年の調査では184.3万円だった葬儀費用の平均価格が、2022年には110.7万円まで減少。実に73.6万円の下落であり、過去最安を記録しています。
これは、コロナ禍で会食ができなかったことが大きな要因です。また、密を避けるため規模の大きな一般葬が減り、身近な人で執りおこなう家族葬が増え、平均参列人数が過去最低を更新したことも影響しています。現在は、感染症が落ち着きつつある中で、会食が復活し、参列者数も増えているため、平均費用は増加傾向にあります。

気になる家族葬の費用内訳

家族葬や一般葬などの形式にかかわらず、葬儀をおこなう際は「葬儀社に支払う費用」「寺院に支払う(宗教者に支払う)費用」「役所や専門業者に支払う費用」の3つが必要です。ここでは家族葬にかかる費用の内訳を紹介します。

葬儀社に支払う費用

葬儀社に支払う費用は、ご遺体の安置や葬儀、出棺などにかかるものです。セットプランでは「葬儀費用一式」「葬儀本体費用」などと表示されます。
<費用の一例>
  • 斎場使用料
  • 祭壇や棺、遺影などにかかる費用
  • 司会やセレモニースタッフなどの人件費
  • 寝台車や霊柩車にかかる費用
  • 会食費
  • 返礼品(香典返し)など
なお、プランによっては火葬に関する費用が含まれていないことも考えられるため、見積書をきちんと確認しておくと確実です。

寺院に支払う(宗教者に支払う)費用

寺院(宗教者)に支払う費用は、読経や戒名授与へのお礼として渡すお布施のことです。お布施は葬儀社を介さず、喪主が直接渡します。
なお、お布施の金額に決まりはありません。しかし、実際には相場が存在し、二日葬の場合は50万円ほどが一般的とされます。

役所や専門業者に支払う費用

葬儀をおこなう際は、参列者の会食費や火葬の費用なども必要です。この費用は個別に支払う場合もあれば、葬儀プランに含まれていることもあります。
<火葬費>
火葬場に支払う費用は、公営の場合は市区町村の委託業者などに、民営の場合は、運営元に支払います。火葬の相場は、公営では、北海道札幌市のように市民であれば無料(それ以外は4.9万円)という斎場や、千葉県習志野市のように該当する住民であれば1.1万円(それ以外は11万円)というように住民であれば無料~数万円程度での利用となります。東京では民営の火葬場が多く一例では5.96万円~28万円の料金設定となっています。

ここに控室の料金として数千円~2万円の料金がかかります。また、燃料費などが取られることもあります。
<会食費>
通夜振る舞いや火葬後の会食などにかかる費用もあります。通夜振る舞いの相場は一人3千円~5千円です。葬儀プランに含まれていない場合は、注文先のお食事会場やレストラン、弁当屋に代金を支払います。

家族葬の費用を安く抑える方法

家族葬は一般葬よりは相場が低いとはいえ、何らかの事情で予算が不足してしまうときがあるかもしれません。ここでは家族葬の費用を抑える方法を紹介します。

複数の葬儀社に見積もりを依頼する

同じ家族葬でも、葬儀社によってプラン内容や費用は異なります。家族葬を検討する際は、数社に見積もりを依頼するのが理想です。そうすることで内容と費用の比較ができ、納得のいく葬儀社とプランを見つけやすくなります。
ただし、亡くなった直後は慌ただしく、複数の葬儀社の相見積もりを取るのはむずかしくなります。できれば家族が元気なうちに家族葬ホールの見学や葬儀社への見積もり依頼をおすすめします。

パッケージプランを用意している葬儀社を選ぶ

以前は「葬儀費用は終えてみるまでいくらになるか分からない」などと言われることもありましたが、最近ではパッケージプランを用意する葬儀社が増えてきています。パッケージプランは費用の総額をあらかじめ確認できるほか、仏具やサービス内容が明確なため、費用と見合っているか事前に確認できるのが利点です。
ただし、プラン内容や料金表示の方式などは葬儀社ごとに異なります。パッケージプランですべてが賄えるのか、内容や費用の比較検討をおすすめします。
家族葬を専門におこなう家族葬のファミーユでは、定額の「セットプラン」と個々の好みや希望を活かせる「オリジナルプラン」を用意しています。
<セットプラン>
火葬に必要なもののみのシンプルなプランから、華やかな花祭壇、故人を清められる古式湯灌などが付いたプランまで多種多様。価格帯も約15万円~165万円(税抜)までと幅広く、個々のニーズに合わせて選べます。
<オリジナルプラン>
葬儀の前後をしっかりとサポートし、故人ならではのオーダーメイド祭壇やゆかりのあるお食事、想い出の曲の生演奏など、故人と家族の理想のお別れを実現するプランです。故人の人柄を反映できるため、記憶に残る葬儀が叶います。
「どの葬儀プランが故人や家族の希望に合っているか」という判断は、葬儀のプロでなければ難しい場合もあります。まずは気軽に葬儀社へ相談して会場やプランを確かめてみてはいかがでしょうか。

葬儀の規模を見直す

葬儀の予算と実際にかかる費用が一致しない場合は、祭壇を小さくする、参列者の人数を少し減らす、二日葬を一日葬にするなど、葬儀の規模やグレードを縮小するのも一案です。参列者の人数を減らすと飲食や返礼品にかかる費用が削れるほか、場所によっては会場費も抑えられます。
しかし、あまりに簡素化すると心残りができたり、身内や参列者から不満が出たりする恐れがあるため、勝手な判断は避けたいところです。また、参列者の人数を減らすと確かに葬儀費用は抑えられますが、香典が減るため全体の収支としてどちらが安くなるかは一概には言えません。葬儀の規模を見直す場合は、家族や親族と相談することをおすすめします。

【Q&A】家族葬の費用に関する疑問を解決

葬儀を予定していると「費用はいつ・誰が支払うのか」「葬儀費用がない」といった疑問・悩みが生じることも。ここでは、葬儀費用に関する疑問の答えを紹介します。

葬儀費用はいつ・誰が払うもの?

葬儀費用の支払いは、葬儀の主催者である喪主が担うことが多いです。しかし、必ずしも喪主が支払うという決まりはありません。経済的に支払いが難しい場合は、兄弟(相続人)で分担する方法もあります。葬儀費用について不安な場合は、家族・親族間で話し合ってみてはいかがでしょうか。
なお、葬儀社の多くは葬儀費用の支払い期限を「葬儀後1週間を目安」としています。

葬儀費用が足りない場合はどうすれば良い?

十分な葬儀費用がない場合も、いくつかの策があります。
<葬儀プランの見直し>
葬儀をおこなう前であれば、再度葬儀社と打ち合わせをし、プランそのものを見直しましょう。何を差し引きすれば費用が見直せて親族や参列者からの不満が出にくいかなど、経験則を交えて提案してくれるはずです。
<葬祭扶助制度の利用>
遺族が生活保護を受けている場合は、葬祭扶助(そうさいふじょ)制度を利用できます。葬祭扶助とは自治体が葬儀費用を支給する制度で、経済的に困窮している人が対象です。この制度を使う場合、火葬のみがおこなわれます。
<市民葬・区民葬の利用>
市民葬・区民葬を利用すると、自治体と提携した指定葬儀社による葬儀をおこなえます。故人、または喪主がその自治体に居住していることなどの条件がありますが、定額制で50万円以内のところが多いです。ただし、あまりに低価格なものは葬儀内容が不十分かもしれないので、注意が必要です。
そのほか、クレジットカードやローンを利用する方法もあります。詳細は以下の記事を参考にしてみてください。

家族葬と一般葬の特徴と違い

家族葬と一般葬は、参列者の属性と人数に違いがあります。最後に、それぞれの特徴を簡単に紹介します。

家族葬は身近な人で営む葬儀

家族葬について明確な定義はありませんが、主に家族・親族だけで営む小規模な葬儀を指します。参列者の人数は1~30人程度が多く、案内状を出した人のみ参列してもらうのが一般的です。参列者が顔見知りであることや数も少ないことで、遺族にかかる心身の負担を軽減できる上、故人との時間をゆっくりと過ごすこともできます。
また、家族葬は自由度が高いのも特徴の一つです。

一般葬は多くの人に参列してもらう葬儀

一般葬は家族・親族に加え、故人が勤めていた会社の人や、近所の人まで声をかけます。参列者は30人以上になることが多く、100人だと小規模、200人を超えると大規模とされます。
なお、一般葬はしきたりや参列者へのおもてなしが重視されますが、葬儀の流れは家族葬と変わりません。

家族葬を検討する際は、費用も含めて葬儀社に相談を

家族葬は参列者が少ない分、一般葬より価格を抑えられる傾向にあります。また、故人との最期の時間をゆっくり過ごせるのも魅力です。どんな形式であっても、葬儀をおこなう際は費用と内容の両方に納得した状態で当日を迎えたいところです。
費用面だけでなく、プラン内容や流れなど、葬儀に関することはいろいろな葬儀社がWEBサイトなどで情報を発信しています。心残りなく最後の日を迎えられるように、できればじっくり検討してみてください。

この記事の監修者

瀬戸隆史 1級葬祭ディレクター(厚生労働省認定・葬祭ディレクター技能審査制度)
家族葬のファミーユをはじめとするきずなホールディングスグループで、新入社員にお葬式のマナー、業界知識などをレクチャーする葬祭基礎研修などを担当。